おしどり贈与と呼ばれる配偶者控除の特例とは?適用要件を解説

長年、ともに連れ添った夫婦が活用できる特例として「おしどり贈与」と呼ばれる制度があります。
「おしどり贈与」はお得な制度といえますが、使い方によっては税金面で損をするケースもあるため、注意が必要です。
そこで今回は、おしどり贈与と呼ばれる配偶者控除の特例について、適用要件やメリット・デメリットを解説します。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却相談ページへ進む
おしどり贈与と呼ばれる配偶者控除の特例とは

「おしどり贈与」の通称を聞いたことはあっても、具体的にどのような制度なのかわからない方もいるかもしれません。
ここでは、おしどり贈与の概要や活用が向いているケース、手続きの手順に分けて解説します。
おしどり贈与の概要
おしどり贈与の正式名称は「贈与税の配偶者控除の特例」です。
一定の要件を満たす夫婦が、居住用不動産や居住用不動産の購入資金を贈与した場合に活用できる制度です。
通常の暦年贈与では、年間110万円の基礎控除を上回る金額に贈与税が課せられます。
一方、おしどり贈与では2,000万円の控除が受けられるため、基礎控除と合わせると最大で2,110万円までが非課税となります。
夫婦間で不動産やその購入資金を贈与する場合、大きな節税効果のある制度です。
おしどり贈与の活用が向いているケース
以下のようなケースでは、おしどり贈与の活用が向いている可能性があります。
●自宅の所有者が高齢である
●自宅の所有者が余命わずかである
●いずれ自宅を手放して子どもに現金を相続させたいと思っている
ただし、上記のようなケースであっても、状況によってはほかの特例を活用したほうが節税効果が高いケースもあります。
おしどり贈与の活用を決める前に、制度の内容をよく理解しておくことが大切です。
おしどり贈与の手続きの手順
おしどり贈与の手続きの手順は、以下のとおりです。
●必要書類を準備する
●申告書を作成する
●税務署に申告する
おしどり贈与の申告で必要となる書類は、以下のとおりです。
●戸籍謄本もしくは抄本
●戸籍の附票の写し
●居住用不動産の登記事項証明書
これに加え、居住用不動産の贈与の場合は、固定資産評価証明書も必要です。
贈与税の申告書は、国税庁のホームページからダウンロードして入手できます。
申告書に記入したら、贈与を受けた人の所在地管轄の税務署に行き、提出します。
贈与の申告には、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの期限があるため、遅れないように注意しましょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却相談ページへ進む
おしどり贈与の適用要件

おしどり贈与は、すべての夫婦間の贈与に適用されるわけではなく、一定の要件を満たしている必要があります。
ここでは、3つの要件に分けて解説します。
要件①婚姻期間
おしどり贈与は、婚姻期間が20年以上ある場合にのみ適用されます。
婚姻期間とみなされるのは、婚姻の届出日から贈与を受けた日までです。
1年未満の端数は計算されないため、婚姻期間が19年11か月の場合は、要件を満たさないことになります。
婚姻期間は、通算でも認められます。
たとえば、結婚後10年で離婚し、同一の方と再婚してから10年が過ぎれば、通算20年としておしどり贈与の適用が可能です。
また、内縁関係は婚姻関係とはみなされない点に、注意が必要です。
要件②居住用不動産
おしどり贈与を不動産に対して適用する場合は、居住用不動産またはその取得資金でなければいけないとの要件があります。
居住用不動産とは、贈与を受ける配偶者が住むための家屋、またはその家屋の敷地を指します。
居住用の家屋とその敷地は別々に贈与を受けた場合でも、おしどり贈与が適用可能です。
店舗兼住宅の不動産や、ほかの住宅がある敷地の贈与を受けた場合は、床面積のうち、おしどり贈与が適用できる範囲の条件が定められています。
おしどり贈与は居住用不動産の取得資金にも適用されますが、贈与を受けた資金は、ほかの用途には使えなくなる点に注意しましょう。
要件③居住期間
おしどり贈与を適用する居住用不動産には、居住期間の要件が定められています。
具体的な期間が定められているのは、住むつもりのない不動産について、節税目的でおしどり贈与を適用することを防ぐためです。
おしどり贈与の対象となるのは、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住し、その後も居住し続ける見込みのある不動産です。
取得資金を贈与された場合はとくに、要件を満たす住居を購入し、翌年までに住み始められるかをよく考えたうえで制度を活用しましょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却相談ページへ進む
おしどり贈与のメリット・デメリット

おしどり贈与には、メリットだけでなくデメリットもあるため、活用は慎重に検討する必要があります。
ここでは、メリットとデメリットをそれぞれ2つずつ解説します。
メリット①将来の相続税が安くなる
贈与をしていない状態では、夫婦の財産が一方に偏るケースがあります。
たとえば、夫が財産の総額を持っていた場合は、夫が亡くなると財産の総額が相続税の対象となります。
一方で、贈与により夫婦の財産を分散させておけば、将来的に発生する相続税を減らすことが可能です。
夫の持っている財産のうち、2,000万円以下を妻に贈与すれば、おしどり贈与の適用により贈与税がかかりません。
将来夫が亡くなった場合も、妻に贈与済みの財産には相続税がかからないため、節税が可能になります。
メリット②売却時に夫婦2人で3,000万円特別控除が使える
おしどり贈与では、不動産のすべてではなく、持分を決めて配偶者に贈与できます。
おしどり贈与で、控除となる2,000万円以下の持分を配偶者に贈与し、自宅を共有不動産にすることが可能です。
共有不動産を売却する場合、売却益にかかる譲渡所得税について、所有者それぞれが特例を適用できます。
居住用不動産を売却する場合は3,000万円特別控除が使えますが、夫と妻がそれぞれ適用すると最大6,000万円の控除となります。
将来的に売却する自宅について、事前に夫婦間でおしどり贈与をしておくと、節税のメリットがあるといえるでしょう。
デメリット①ほかの税金がかかる
おしどり贈与税を活用する場合は、不動産取得税と登録免許税の税金がかかります。
不動産取得税は、相続で不動産を取得した場合に免除されますが、おしどり贈与では課税対象となります。
登録免許税も、おしどり贈与では税率が2%であるのに対し、相続では0.4%で済む点に注意が必要です。
おしどり贈与によって得られる節税効果と相続時の税率を比べて、よりお得なほうを選択するようにしましょう。
デメリット②相続税の配偶者税額軽減でも代用可能
配偶者に自宅を渡す場合の節税が目的であれば、相続税の配偶者税額軽減でも代用が可能です。
相続税の配偶者税額軽減とは、配偶者が相続を受ける場合、1億6,000万円もしくは法定相続分の相当額のどちらか多いほうまで、相続税がかからない制度です。
配偶者に自宅を相続させたい場合、遺言書にその旨を明記しておけば、配偶者税額軽減により非課税で自宅を遺せます。
おしどり贈与によって得られる節税効果と相続時の税率を比べて、よりお得なほうを選択するようにしましょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却相談ページへ進む
まとめ
おしどり贈与とは、夫婦間で居住用不動産や居住用不動産の購入資金を贈与した場合に受けられる、控除の特例です。
おしどり贈与の適用には、20年以上の婚姻関係や居住期間などの要件が定められています。
相続税や売却時の譲渡所得税などの節税ができる一方で、ほかの税金がかかるデメリットもあるため、比較検討しつつ利用を決めることが大切です。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却相談ページへ進む

アジア住宅販売
川越 / ふじみ野 / 大宮エリアに根ざした経験を活かし、お客様に寄り添った不動産の提案が可能です。
不動産は「暮らし」を形づくる重要な選択。
だからこそ、一人ひとりの想いに寄り添うことを心がけています。
■強み
・川越市を中心に30年の実績
・住み替えに加えて、相続や初めての不動産購入など多様な相談に対応可能
■事業
・不動産売買 / 仲介業
・不動産管理業